グランドポテンシャル †
定義 †
\[ \Omega\equiv U-TS-\sum_i\mu_i N_i \]
文献によっては\( \Phi \)で表す場合もある。
等温・等化学ポテンシャル過程 †
外部から系に与えられる熱量を\( {\rm d}'Q \)、仕事を\( {\rm d}'W \)とすると
\[ T{\rm d}S\ge{\rm d}'Q={\rm d}U-{\rm d}'W-\sum_i\mu_i{\rm d}N_i\qquad \therefore {\rm d}U-T{\rm d}S-\sum_i\mu_i{\rm d}N_i\le {\rm d}'W \]
いま温度と化学ポテンシャルが一定に保たれる過程を考えると
\[ {\rm d}\Omega={\rm d}\left(U-TS-\sum_i\mu_iN_i\right)\le {\rm d}'W \]
よって等温・等化学ポテンシャル過程に伴う系のグランドポテンシャルの変化\( {\rm d}\Omega \)は、外部から系に与えられた仕事\( {\rm d}'W \)を超えない。
特に外部から与えられた仕事がゼロの場合
\[ {\rm d}\Omega\le 0 \]
すなわち温度・化学ポテンシャル一定の下で、系はグランドポテンシャルが減少する方向に自発的に変化する。
反応エネルギーの計算 †
温度・化学ポテンシャル一定の下で起きる反応の前後で内部エネルギー、エントロピーおよび粒子数の変化\( \Delta U,\Delta S,\Delta N_i \)を計算し、次式で反応エネルギーを求める。
\[ \Delta\Omega=\Delta U-T\Delta S-\sum_i\mu_i\Delta N_i \]
特に絶対零度\( T=0 \)の場合は
\[ \Delta\Omega=\Delta U-\sum_i\mu_i\Delta N_i \]
のように簡単化される。