Dipole correction

スラブを用いた計算を行う際に仕事関数の異なる二つの表面を扱う方法。 原子あるいは分子を周期スラブの片側の表面に吸着させた場合がそれに相当する。 仕事関数が異なる表面を周期境界条件の元で取り扱うと、セルの境界でポテンシャルが連続的になる必要があるため、本来あるべきでない人工的な電場(双極子場)が生じてしまう。その双極子に由来する場(電場)を打ち消すように双極子層をセル中に挿入するのがこの方法である。

入力ファイルの例(水レイヤー)

  0 0 0 0 0 0                                 : Water molecular crystal
  5.00 15.00  2   3   3                   : GMAX, GMAXP, NTYP, NATM, NATM2
  1  0                                            : space group, bravis lattice
  5.669180633  5.669180633 22.67672253  90.0  90.0 90.0 :a,b,c,alpha,beta,gamma
Dipole
 11.33836127   0.00000000
   1   1    1    1   1  1                    : knx,kny,knz, k-point shift
   1   0                                         : NCORD, NINV
   1.4573900861  0.0000000000  1.1182947451  1  1  1  0.0 0.0  0
 -1.4573900861  0.0000000000  1.1182947451  1  1  1  0.0 0.0  0
   0.0000000000  0.0000000000  0.0000000000  1  1  2  0.0 0.0  0
   1  0.1500  1.00794  3 1 0.d0            : TYPE 1IATOMN,ALFA,AMION,ILOC,IVAN
   8  0.1500  15.9994  3 1 0.d0            : TYPE 2IATOMN,ALFA,AMION,ILOC,IVAN 
   0 0 0 0 0                                           : ICOND
   0   1                                                  : IPRE, IPRI
   200   200     0    57200.00  0            : NMD1, NMD2, iter_last, CPUMAX,ifstop 
   3   1                                                  : MIX_WAY MIX_OBJECT 
   0    8  0.6                                          : starting mixing, kbxmix,alpha
   0.60  0.50  0.60  0.70  1.00              : DTIM1, DTIM2, DTIM3, DTIM4, dtim_last
   30.00     4     1    0.10D-08  1.d-06  : DTIO ,IMDALG, IEXPL, EDELTA
   0.0010  0.50D+03    0                      : WIDTH,FORCCR,ISTRESS
ggapbe          1                                    : XCTYPE, nspin
...

格子ベクトルの定義に続けて双極子補正の宣言

Dipole

DipoleでNeugebauer-Shefflerの双極子補正、Dipole2でBengtssonの双極子補正を選択可能。
次に双極子層を挿入する場所と双極子の初期値

 11.33836127   0.00000000

通常は電荷密度が最小になる位置を選ぶが、ユニットセルが十分大きく(z方向に長く)、電荷密度が十分に無視できる程小さければどこでも良い筈である。

収束にかかる回数は通常のSCF計算よりも多くなることが経験により知られている。(通常の計算と同様に収束する系も多く存在するが) そのためミキシングパラメータは通常の計算よりも小さくし、収束判定の条件(EDELTA)も双極子補正がない場合よりも一桁程度小さくするのが良いようである。 また収束が極めて遅い場合は、先ず通常のSCF計算を行い収束した波動関数を求め、その後に波動関数を初期波動関数として双極子補正を取り入れた計算を行うのが良いようである。

参考文献

  • Neugebauer and Scheffler
  • Bengtsson

更新履歴

2007-10-22 (月) 11:23:56 I. Hamada (created)

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